インターネット上で誹謗中傷を受ける場合があります。
そのまま放置してしまうと、それが真実の情報として拡散され、信頼低下やイメージダウンに繋がるでしょう。
誹謗中傷を受けたら、どこにどのようなタイミングで相談すればいいのでしょうか。
この記事では、誹謗中傷を受けた時の相談機関を説明し、特に弁護士に相談するメリットや対応についてご紹介します。
また、警察や業者との違いについてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
誹謗中傷を受けた!どのタイミングで相談すべき?
インターネット掲示板やブログコメントの書き込みで、誹謗中傷を受けることがあります。
誹謗中傷を受けたら、すぐに対処することが大切です。
最初に書き込まれた掲示板の運営もしくは本人に連絡をして、削除依頼を出します。
しかし、削除請求を出したにも関わらず消してもらえない時は、相談機関に頼るべきです。
また、不特定多数が書き込む掲示板では、相手への連絡手段が限られています。
誹謗中傷の書き込みを見つけても、どのように削除請求していいか分からない時も相談するといいでしょう。
法人の場合、誹謗中傷の内容によっては企業のイメージダウンになり、売上にも関わります。
よって、早めに相談して対処するべきなのです。
誹謗中傷を受けた場合の相談先4カ所!
誹謗中傷を受けた場合、どのような機関に相談をすればいいのでしょうか。
具体的には、弁護士や警察・法務局・誹謗中傷対策業者の4ヵ所が相談機関になっています。
これから、それらの特徴や相談方法についてご紹介します。
弁護士
誹謗中傷を受けた場合、弁護士に相談できます。
弁護士は法律のトラブルを専門にしているため、さまざまな方法で解決してくれるでしょう。
相手側を特定して、削除請求を直接行います。
また、削除請求に応じてくれない場合は、訴訟を起こすことも可能です。
特に、法律トラブルが発生する時は、弁護士に相談するといいでしょう。
警察
警察も誹謗中傷を受けた時の相談機関です。
誹謗中傷によって被害を受けた場合は、警察に届け出るといいでしょう。
内容によっては、「名誉毀損罪」が成立します。
例えば、「○社は脱税していた」「○○さんは不倫をしている」など、プライバシーに関わることや社会的評価を下げる内容で誹謗中傷された場合は、名誉毀損罪になる可能性があるのです。
法務局
法務局は、嫌がらせやいじめを受けた時に人権相談ができる機関です。
よって、誹謗中傷に関する相談もできるでしょう。
削除請求をしたい時は、請求方法などのアドバイスを受けることが可能です。
また、自分で対処できない時は、法務局が代行して記事削除請求をしてくれます。
自宅や職場に近い法務局の支局へ行き、相談するといいでしょう。
誹謗中傷対策業者
誹謗中傷対策業者にも相談できます。
インターネットの誹謗中傷などに特化していて、誹謗中傷による影響を少なくしてくれる業者です。
例えば、指定の書き込みを削除してくれます。
また、逆SEO対策をして検索順位を低下させることも可能です。
しかし、誹謗中傷した人を特定できるとは限りません。
検索順位を下げる場合は、該当の記事や書き込みが消せるわけではないので、そのまま残ってしまいます。
誹謗中傷の相談をするなら弁護士・警察どちらにすべき?
誹謗中傷の相談をする場合、弁護士や警察のどちらにすべきなのでしょうか。
一般的には、弁護士の方が解決しやすいでしょう。
これから、弁護士に誹謗中傷の相談をするメリット、弁護士以外に相談する時のデメリットについてご紹介します。
ネットの誹謗中傷で弁護士に相談するメリット
インターネットでの誹謗中傷を弁護士に相談すると、犯人を特定できる、削除要請しやすい、慰謝料請求ができるなどのメリットがあります。
また、削除をしてくれない時は訴訟にすることも可能です。
それらのメリットについて、詳しくご説明します。
犯人を特定できる可能性が高い
誹謗中傷の相談を弁護士にすると、書き込みをした犯人が特定できる可能性が高いです。
一般的に、ブログやSNSのアカウントは本名以外でも登録できるため、知り合いでない限り特定は難しいでしょう。
特に不特定多数が書き込む掲示板は、個人的に特定することは困難です。
インターネット上で個人情報を開示する時は、サイトの運営者にプロバイダの開示を依頼し、さらに判明したプロバイダから発信者情報を開示してもらいます。
つまり、2段階の開示請求によって犯人を特定しますが、この手続きを個人で行うのは難しいです。
弁護士の場合、このような手続きの経験や実績があり、開示請求ができる資格もあるため、犯人を特定しやすくなります。
書き込みの削除要請ができる
弁護士に相談をすると、書き込みの削除要請できることもメリットです。
誹謗中傷を受けた本人から削除をお願いしても、その通りに削除してくれるとは限りません。
さらに誹謗中傷がエスカレートすることもあり、被害が大きくなってしまいます。
一方で、弁護士から削除要請を受けた場合は、応じる可能性が高いでしょう。
弁護士が代理人になったと分かると、本気度が伝わり削除する場合があります。
「ただちに削除しないと、慰謝料請求や訴訟を起こす」などの文面を同封することも可能です。
慰謝料請求ができる
慰謝料請求ができることも弁護士に依頼するメリットです。
誹謗中傷の内容が侮辱罪や名誉毀損罪・プライバシーの侵害に当たる場合は、慰謝料を請求できます。
侮辱罪とは事実を示さずに公然の場で侮辱した時、名誉毀損罪とは公然の場で相手の社会的評価を下げた時になる可能性が高いです。
名誉毀損罪は、真実の有無は問われません。
慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償になるため、一般的には誹謗中傷で慰謝料の請求ができます。
しかし、誹謗中傷の内容で損害賠償が発生するのかは、弁護士に確認する方がいいでしょう。
慰謝料の金額は、誹謗中傷の内容や書き込みの頻度によって異なります。
慰謝料の交渉も弁護士に任せるため、本人の手間や負担は少ないです。
裁判ができる
弁護士に相談をしていれば、裁判ができます。
万が一、相手が削除に応じてくれない場合、裁判などで解決できることはメリットでしょう。
侮辱罪や名誉毀損罪の場合は、刑事裁判を行います。
慰謝料請求やプライバシーの侵害に対する話し合いは民事裁判です。
民事裁判の場合、被害者自身で裁判を起こす本人訴訟もできます。
しかし、手続きに時間がかかり、法的な主張をするのも難しいでしょう。
よって、判決内容に納得できない場合があります。
裁判を弁護士に依頼していると、しっかりと調べて主張もしてくれるのです。
「仮処分」の申立をすれば、強制的に誹謗中傷内容を消せます。
弁護士以外に誹謗中傷の相談するデメリット
誹謗中傷の相談を弁護士以外にする場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
警察が罪と判断しなかった場合は捜査してもらえない可能性があります。
また、誹謗中傷対策業者の場合、完全に記事を消せるとは限りません。
これから、その詳細についてご説明します。
警察の場合
誹謗中傷を警察に相談した場合、その内容が罪になるのかを判断してくれます。
具体的には、名誉毀損罪や業務妨害罪などです。
警察の場合、誹謗中傷の内容が罪に問えない場合、捜査をしない可能性があります。
捜査をしてくれれば犯人を特定して逮捕になりますが、捜査してもらえないと何にも解決できないのです。
犯人の特定ができず、書き込みの削除請求もできないため、そのまま誹謗中傷の内容が残ってしまうでしょう。
警察に相談した時の説明や書類を提出する手間だけがかかります。
誹謗中傷の対策業者の場合
誹謗中傷対策業者は、主に逆SEO対策をして、検索順位を下げる方法を用います。
他の人が検索をしても見つかりにくくなりますが、誹謗中傷の内容が消せるわけではありません。
書き込まれた内容はそのまま残ってしまうため、根本的な解決にならないのがデメリットです。
内容がそのまま残っていると、他の人によって拡散され、さらに被害が増える可能性もあります。
多くの人が誹謗中傷に関わり、犯人が特定しづらくなるのです。
また、誹謗中傷対策業者は、弁護士のように個人情報の開示を依頼できません。
つまり、プロバイダから犯人を特定することは難しいのです。
誹謗中傷の内容を的確に伝える!弁護士相談で必要なものとは?
弁護士に誹謗中傷の相談をする時は、内容を的確に伝えることが大切です。
よって、書き込まれた内容のコピーなどを用意するといいでしょう。
これから、弁護士に相談する時に必要なものをご紹介しますので、参考にしてください。
証拠
弁護士に相談する時は、証拠品を持っていくようにしましょう。
証拠がないと、誹謗中傷の内容が真実か分からず、弁護士も対応に困ってしまいます。
証拠品があれば話を進められますが、内容が明確にならないと相談が次回に持ち越される可能性もあるでしょう。
具体的には、誹謗中傷が書かれた掲示板やブログのURLをひかえていきます。
書き込みが書かれたページのコピーがあると、分かりやすいでしょう。
証拠隠滅をされる場合もあるため、書き込みを見つけた時にスクリーンショットなどで撮影しておくのが望ましいです。
誹謗中傷があった期日も分かるようにしておきます。
犯人とメッセージをしている場合、内容を残しておくことが必要です。
契約に必要な書類や持ち物
相談や契約をする時は、本人確認ができるものを持参します。
例えば、運転免許証やマイナンバーカードなどです。
契約をする時は委任状や委任契約書を記載するため、認印も必要になります。
相談をするのが法人の場合は、社印を用意しましょう。
実印でなくても構いませんが、シャチハタは契約書に使用できません。
経緯をまとめたメモ
相談するまでの経緯をまとめたメモや書類も用意しましょう。
弁護士への相談時間は、1回30分や1時間など、時間と料金が決まっています。
限られた時間で説明するため、あらかじめ経緯を文章や図で示していくといいのです。
質問したい内容があれば、メモに書いておくだけでスムーズに相談できます。
個人的なメッセージで削除請求をした場合、削除申請をした回数や断られた回数・その時のメッセージも証拠になるでしょう。
メッセージの内容によっては、慰謝料を請求できる場合もあるので、全てを記録し弁護士に提出することが大切です。
気になる費用!誹謗中傷で弁護士に相談したらいくらかかるの?
誹謗中傷の相談を弁護士にする時、どのぐらいの費用がかかるのでしょうか。
あらかじめ費用の知識があると、安心して相談ができます。
これから、相談費用やその他にかかるものについて、費用の目安などをご紹介します。
関連記事:ネット誹謗中傷に強いIT弁護士の相談費用の相場はどれくらい?
法律相談費用
弁護士への相談費用は、法律事務所ごとに異なります。
一般的には、1回につき5000円~1万円ぐらいの費用がかかるでしょう。
法律事務所によっては、初回を無料にしているところもあります。
法人で顧問弁護士がいる場合は、相談だけの時は顧問料だけで収まるでしょう。
法人の顧問料は毎月1万円~5万円ぐらいになります。
削除請求費用
裁判外や任意交渉で削除請求をする場合、削除請求費用がかかります。
弁護士には、着手金と報酬金を支払うことになるでしょう。
着手金とは、その問題の解決を依頼するための費用なので、成功の有無は問われません。
報酬金は解決した時に支払う場合が多いです。
一般的には、着手金と報酬金で約5万円が目安になります。
裁判や仮処分をする時は、それぞれ10万円からになるため、20万円以上が必要です。
法人で顧問弁護士がいる場合、費用は弁護士と相談しましょう。
発信者情報開示請求費用
情報の開示で書き込んだ人を特定する場合、発信者情報開示請求費用が必要です。
裁判外や任意交渉の場合、着手金と報酬金がそれぞれ5万円からになります。
訴訟の場合、着手金20万円からで報酬金は10万円からが多いです。
法人で顧問弁護士がいる場合は、相談して費用を決めます。
損害賠償請求費用
損害賠償請求をする時には、損害賠償請求費用を用意します。
裁判外や任意交渉の場合、着手金は10万円からで報酬金は成果額の10%からが一般的です。
訴訟の場合、着手金は20万円からで報酬金は成果額の10%からになります。
顧問弁護士がいる場合の費用は、要相談です。
関連記事:日常的に第三者から受けたネット誹謗中傷の慰謝料相場は?
仮処分申立費用
仮処分を申立する場合は、仮処分申立費用がかかります。
仮処分とは、判決まで待つと被害者に不利益がでるため、権利保全を目的に暫定的措置をとることです。
誹謗中傷の書き込みの場合、強制的に書き込みを削除できます。
仮処分申立費用の目安は、着手金と報酬金それぞれ20万円からです。
顧問弁護士がいる場合は、費用の相談をします。
誹謗中傷の相談は弁護士に相談するなどの対策を
誹謗中傷を受けた時に相談できるところは、弁護士や警察・業者などさまざまです。
被害を最小限にするためには、弁護士に依頼するといいでしょう。
弁護士なら、誹謗中傷した人を特定し、削除請求ができます。
また、万が一削除してもらえない場合も、話し合いや訴訟などで問題を解決してくれるのです。
誹謗中傷は個人だけでなく法人の経営にも影響を及ぼすため、早めの対処が必要になります。
これを参考に、誹謗中傷を見つけたら、弁護士に相談しましょう。