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ネットの書き込みで名誉毀損にあたるパターンとは?刑事罰にあたることも!

2020年7月16日 公開 更新

監修:第二東京弁護士会所属(第54484号)
中崎 徹人

インターネット上にはさまざまな情報がありますが、その中には特定の個人に対する批判や、侮辱ともとれる内容もあります。
こうした書き込みは、たとえ情報発信者に意図があってもなくても、「名誉毀損」という刑事罰にあたる可能性があり注意が必要です。
本記事では、インターネット上の書き込みにおける、名誉毀損の法的な考え方や手続きについて解説します。

ネット上の書き込みが名誉毀損なるのかの判断基準

ネット上の書き込みが名誉毀損なるのかの判断基準
インターネット上に書き込みをした内容は、どんな場合に名誉毀損になるのでしょうか。
基本的な基準はそれほど難しくありませんが、誤解されているケースも少なくありません。
基準を正しく知って正しい判断を行いましょう。

社会的評価(名誉)下げているか

法律上の「名誉毀損」とは、「ある個人や団体の社会的評価を下げる言動」を指します。
一般的に使われる「名誉」には、「社会的名誉」と「名誉感情」があり、名誉毀損にあたるのは社会的名誉を傷つける場合です。
社会的名誉とは、個人や団体が社会的に持っている地位や経済的信用などに関するもので、名誉感情とは個人や団体のいわゆる「プライド」です。

一般的には、プライドを傷つけられたと感じるときに「名誉既存だ!」と使われることもありますが、この場合の多くは、法律的には「名誉毀損」ではなく「侮辱罪」という別の罪にあたります。
書き込みを行った人に意図があってもなくても、社会的評価を下げる結果になっていれば、名誉毀損にあたる可能性が高いです。

公然であるか

名誉毀損を判断するときには、「公然であるか」が必ず問われます。
「公然」とは、「不特定多数に対して書き込みが閲覧可能になっている状態」です。
インターネット上の書き込みの多くは、不特定多数の人が知り得る状況において行われていますので、名誉毀損になる可能性が高いことは覚えておく必要があります。

このときの「不特定多数」とは、「不特定かつ多数」ではなく「不特定または多数」であることに注意してください。
一般的に個人の特定が可能なら「特定(可能)」であり、そうでないなら「不特定」です。
また、「多数」の基準に制限はありませんが、数十人の規模になれば多数と考えて差し支えありません。
たとえば、同じ会社の人であれば「特定多数」と判断が妥当ですし、閲覧に制限のないSNSでの書き込みなら「不特定多数」との判断が妥当です。
インターネット上の書き込みは、「不特定」や「多数」といった公然性についての要件をほとんどのケースで満たします。

具体的な事実の摘示か

インターネット上の投稿における名誉毀損でもっとも重要な判断基準が「具体的な事実の摘示」です。
法律上の「事実」とは「具体的な事柄」を指していると考えてください。
法律における「事実」は、「実際にそうである」ことを意味しません。
たとえば、「あの人は体臭がキツイ」といった具体的な事柄について書き込まれていれば、体臭の程度は問わないということです。
また、具体性という面に言及すると、「あいつはダメなやつだ」程度の漠然とした内容で名誉毀損にあたることはまずありません。

基本的に名誉毀損が認められるのは、ある「事実」が「不特定多数がアクセスできる環境下において表現」されており、その事実によって「社会的評価の低下に至る」と考えられるケースです。

名誉毀損が成立しないケース

名誉毀損が成立しないケース
法律では、表現の自由と個人のプライバシー保護を両立させるため、特定の条件を満たすことにより罪にあたらないとみなす「違法性阻却事由」が定められています。
名誉毀損の違法性阻却事由は「事実の公共性」「目的の公益性」「内容の真実性」の3つです。
違法性阻却事由のどれか1つでも満たせば名誉毀損にはあたりません。

事実の公共性

名誉毀損では、「事実の公共性」がまず問われます。
事実の公共性とは、「摘示された事実が公共の利害にかかわる」ということです。
たとえば、「あの企業で不正会計が行われている」といった内容なら、その会社の従業員や株主、顧客など広い範囲に影響が予想されるため、公共性のある内容と判断し、名誉毀損の訴えを棄却できます。
しかし、「妻が貸した1万円を返してくれない」という程度の内容であれば、個人、もしくは家庭内の問題であり、公共性が乏しいと判断するのが一般的です。

摘示される事実、つまり取り扱われるテーマによって、同じ個人に対する投稿内容だとしても、その公共性が大きく変わることに注意しなくてはなりません。
また、同じ投稿内容だとしても、政治家や大企業の役員、有名人など、対象によって公共性が大きく変わってくることも意識する必要があります。

目的の公益性

違法性阻却事由における目的の公益性とは、その投稿の「目的が公益(広い範囲に有用なこと)である」ということです。
たとえば、「あの企業で不正会計が行われている」という情報が発信された場合は、企業の株主や取引先、従業員など幅広い対象に対する注意喚起となりますので、公益性があると判断します。

政治家の言動を指摘・批判する情報もインターネット上で多く見られますが、この場合はその目的が個人の人格や行動に対する批判ではなく、選挙の際に有権者が適切に投票をすることを促すものであれば名誉毀損にあたりません。
目的の公益性は、さまざまな発言内容などから総合的に判断するのが妥当で、特定の投稿のみを証拠にすることは不適切です。

内容の真実性

また、名誉毀損では「内容の真実性」も違法性阻却事由になっています。
たとえ摘示された事実が確認に基づくものでなかったとしても、真実であれば名誉毀損にはあたりません。
たとえば、週刊誌で芸能人の薬物利用や不倫についての記事が掲載されたとしても、それが実際に確認され、真実であった場合には名誉毀損は成立しません。

逆に、たとえ投稿の中で具体的で詳細に事実が表現されていても、その真実性が認められない場合は名誉毀損となる可能性があります。
たとえば、企業の従業員が「自社で30億円の売上を隠す不正会計が行われている」と従業員が内部告発をした場合、それを立証できる客観的な証拠がなければ、名誉毀損に問われかねないということです。

具体的な名指しでなくても名誉毀損が成立することも

具体的な名指しでなくても名誉毀損が成立することも
名誉毀損については、具体的な名指しで行わなければ大丈夫だろうと考える人もいますがそれは大きな間違いです。
イニシャルやインターネット上で使うハンドルネームを指定し、個人を特定することが可能と判断される場合は名誉毀損が成立します。

たとえば、「不正会計を指示したのはTさんだ」という表現なら、社内にTさんが数多く在籍していて特定が難しい場合は名誉毀損が成立することはほとんどありません。
しかし、社員数が少なく特定が容易な場合や、「不正会計を指示したのはT部長だ」などと役職などで絞り込みが行われている場合は個人の特定が一般的に可能になります。

インターネット上では話題性の大きな事件があると「犯人捜し」が行われることがありますが、これが名誉毀損にあたる場合もあります。
名前やハンドルネームを載せないとしても、社会的名誉を傷つける内容とともに、「A社の財務部長」といった表現や顔写真の投稿をつけるなど、個人の特定が可能な場合も名誉毀損になる可能性が高いです。

名誉毀損はどのような罪に問われるのか

法律上、名誉毀損は刑事罰に該当します。
また、民事として訴訟されるケースも多いです。
名誉毀損がどのような罪として規定されており、どのような刑罰があるのか確認してみましょう。

刑事的な責任

名誉毀損罪は、刑法の230条によって定められています。
その内容は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」です。

刑法上は親告罪(被害者が告訴することを必要とする罪)となっているため、名誉毀損にあたる行為があったとしても、被害者が声を上げなければ罪にはなりません。
「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」とは、無免許運転と同じ罪の重さであり、それだけ名誉毀損の罪が社会的に重いことを意味します。

民事的な責任

民事的な責任
名誉毀損罪は刑事罪ですが、もしも名誉毀損罪にあたると判断された場合には、民事的な責任も負うことになります。
この場合、発言の削除や、訂正についての情報発信を行うなど、名誉回復のための処置が要求されることが多いです。
また、書き込み内容や被害の程度によっては、社会的評価の失墜に伴って発生した損害に対する賠償や、慰謝料が発生することもあります。

誹謗中傷の書き込みが合った際にまず自分でできる対応

もし、自分や身近な人がインターネット上で誹謗中傷にあたる書き込みをされてしまった場合、どのような対応をすればよいでしょうか。
基本的に自分でできる対応は、「管理会社への削除依頼」と「投稿者への削除依頼」の2つです。
以下、その内容や方法について紹介します。

管理会社へ削除依頼を行う

自分で実行可能な、もっとも基本的な対応は、サービスの管理会社や運営会社に削除依頼をすることです。
SNSや掲示板では、利用規約の中で誹謗中傷や名誉毀損をしないようにルールがあるのが一般的ですので、サービスを提供している運営元に連絡をとり、削除依頼をすることで対応してもらえる可能性があります。

ただし依頼をするにあたっては、いくつか注意点があります。
まず、どの発言のどの部分が法的に問題なのかを示すことが必要です。
サービス運営側の判断を助けるためにも、法的な根拠や発生している被害なども可能なら伝えましょう。
こうした手続きは無料で行うことができます。

削除申請を行っても、運営側の一存で投稿を削除ことはほとんどありません。
運営側では、まず投稿者に連絡を取り、書き込みの削除に関する同意を確認します。
そして、確認に同意した場合や、一定期間以内に返答がもらえない場合に削除対応が行われるのが一般的です。
基本的に最終的な決定権は運営側にあるため、利用規約や法律に明らかな違反が認められないとしても、運営側の判断で削除してもらえることもあります。

投稿者へ削除依頼を行う

個人のブログやSNSの場合には、投稿者個人に直接連絡を取ることも可能です。
自分で直接投稿者と連絡を取り、削除を依頼することもできます。

ちょっとした表現上の問題であればすぐに削除対応をしてもらえますが、明確な目的をもって投稿している場合、すぐに承諾してもらえないことが多いです。
こうした場合、「法的手段を取ることも検討している」「警察や弁護士に相談する」といった表現は脅迫罪にはあたりません。
ただし、「仕返しをする」「お前の家をさらす」などの違法な圧力のかけ方をすると脅迫罪として訴えられる可能性がありますので注意してください。

また、投稿者に対して削除依頼を行ったとしても、すでに情報が拡散している場合には、名誉回復への効果はほとんど見込めません。
また、インターネット上にアーカイブとして残っている場合もありますので、それらの削除は別途運営側に問い合わせる必要があります。

名誉毀損で慰謝料を請求する方法

名誉毀損で慰謝料を請求する方法
インターネット上で名誉毀損にあたる投稿などがあれば、場合によっては慰謝料を請求することも可能です。
このとき、「証拠を残す」「実行者を特定する」「慰謝料請求の手続きをする」といったステップで進めていきます。
以下、各ステップを詳しく見てみましょう。

まずは証拠を確保する

名誉毀損があったという証拠を確保するために、対象の発言についてWebの画面を録画したり、スクリーンショットを撮ったり、紙に印刷しておきましょう。
こうした証拠の確保により、発言を削除されても正当性を保つことができます。
このとき、日時も記録しておくと後のトラブル防止に効果的です。

名誉毀損の書き込み犯人を特定する

名誉毀損にあたる書き込みを誰が行ったかを特定することは個人でも可能です。
プロバイダ(インターネットや、各種サービスの提供元)に対して、発信者のIPアドレスを教えてもらえるように請求を行いましょう。
これはプロバイダ責任制限法という法律に則った手続きで、プロバイダには対応の義務があります。

もし、応じてくれない場合にはプロバイダに対して発信者開示請求訴訟を起こし、裁判を通して強制的にIPアドレスやタイムスタンプを開示させることが必要です。
どの発言によって、どのような被害(名誉毀損やプライバシーの流出など)が発生しているのか、公共性や公益性がないこと、真実でないことを証明しましょう。
裁判で承認されれば、発信者に関する情報を開示してもらうことができます。

慰謝料を請求する

名誉毀損を行った発信者の特定ができたら、相手に対して慰謝料請求を求めることも可能になります。
プロバイダからの情報開示が行われている時点で、裁判になればほぼ確実に有利な状況ですので、基本的には相手も対応せざるを得ません。
請求を行う際は、慰謝料を求める根拠や、希望する金額や対応などを明記して送ります。
知らない、届いていないふりをされないために、慰謝料の請求書を送付する際は内容証明郵便などで配達や受け取りの記録が残る方法を使いましょう。

相手が対応してくれない場合や、交渉の折り合いがつかない場合は、訴訟を起こして民事裁判として処理することも可能です。

何気ない書き込みが罪になることもある

何気ない書き込みが罪になることもある
真実ではなく、人の名誉や地位を傷つけるような内容を、インターネット上で発信することは名誉毀損にあたる可能性があります。
インターネット上の掲示板など匿名で利用できるサービスだとしても、適切な手続きを取れば相手の特定は可能です。
必要なら、相手に対して情報の削除や慰謝料の請求もできます。
何気ない書き込みだとしても、罪になることもありますので発信する情報には注意しましょう。

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