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ツイッター上で誹謗中傷トラブルは弁護士に依頼した方かいい?

2020年11月4日 公開 更新

監修:第二東京弁護士会所属(第54484号)
中崎 徹人

ツイッターでは、些細な行為から誹謗中傷トラブルが起こることがあります。
万が一、誹謗中傷の被害に遭った場合には、被害の拡大を防ぐために迅速かつ適切な対処が必要です。
この記事では、ツイッターでの誹謗中傷に対する対応方法を紹介します。
あわせて、トラブル解決のために弁護士へ相談することのメリットも解説しているので、参考にしてください。

ツイッターで誹謗中傷が起こりやすい理由とは?

ツイッターで誹謗中傷が起こりやすい理由とは?
ツイッターは、ハンドルネームでもアカウントを作成できるSNSです。
特に日本ではツイッターを実名で利用している人は少なく、匿名で投稿することが主流となっています。
匿名なので「誹謗中傷しても特定されないだろう」と誤認識し、リアルでは言えないような攻撃的な言葉でツイートするユーザーも存在します。
また、過去に有名人同士がツイッター上で喧嘩ごしのリプライをやり取りしていたこともありました。
それらを見て、「ツイッターでは多少の暴言を吐いても問題ない」と勘違いしているユーザーもいます。
こういった事情から、ツイッターでは他のSNSに比べて誹謗中傷が起こりやすいと考えられます。

誹謗中傷に対するツイッターのポリシー

ツイッター公式では言論の自由に対し「表現の自由を尊重し、開かれた話し合いを行うべきだと考えています。
」とアナウンスされています。
ただし誹謗中傷する行為は許されないと定め、個人または特定の集団に向けられた攻撃的なツイート・リプライを禁止する規定も存在します。
つまり、ツイッターで許されている言論の自由とはあくまでも「誹謗中傷にならない範囲だったら自由に話し合いして良い」という内容なのです。
「言論の自由」を傘にして誹謗中傷・人権侵害などの暴言を吐くことは、ツイッター公式でも明確に禁止されている行為です。

リツイートやいいねでも名誉毀損になる?

誹謗中傷ツイートを「リツイート」や「いいね」した場合の扱いは、誹謗中傷ツイートを直接投稿した場合と少し異なります。
「リツイート」とはツイッターの主な機能のひとつで、他ユーザーのツイートをそのまま自分のタイムラインに流すことができる機能のことです。
過去の判例によると、裁判所はリツイートを「引用形式により発信する主体的な表現行為」であると判断しており、名誉毀損にあたる可能性が高いと考えられます。

一方の「いいね」は、ツイートに対する賛同・同調を示すための機能です。
名誉毀損罪が成立する要件の一つに「事実の摘示」があります。
事実の摘示とは、具体的な事実を示していることを指します。
「いいね」は賛同しているだけなので、事実の摘示があるとはいえません。
したがって、誹謗中傷ツイートを「いいね」しただけでは名誉毀損にあたる可能性は低いと考えられます。

ツイッターで誹謗中傷された場合の対処法

ツイッターで誹謗中傷された場合の対処法
この段落では、実際にツイッター上で誹謗中傷されてしまった場合にすぐできる対策を2つ紹介します。
ツイッターの機能を使った対処法なので、まずはこの方法で相手からの攻撃を防げないか試してみてください。

軽度なものであればミュート・ブロックで対処

誹謗中傷が軽度なものであれば、ツイッターの一般的な機能であるミュート機能・ブロック機能で対応するのがもっともシンプルで手間のかからない方法です。
特定のアカウントをミュートすると、ミュートしたアカウントのツイートが自分のタイムライン上に表示されなくなります。
リプライを使わず標準のツイートにて誹謗中傷してくるアカウントがいる場合には、ミュートが効果的です。
ただし、ミュートしたアカウントが自分のツイートを見ることはできます。
さらに、ミュートしたアカウントから自分へのリプライやDM送信も可能です。
DMについては、フォローしていないアカウントからは受信しない設定にすることもできるので、そちらも有効活用するとよいでしょう。

攻撃的なリプライを繰り返すアカウントがいる場合には、ミュートではなくブロックで対応するのがおすすめです。
特定のアカウントをブロックすると、ブロックしたアカウントから自分のツイートを見ることはできません。
「〇〇さんはあなたをブロックしました」というメッセージが相手に表示され、いいね・リツイート・リプライ/DMの送信・リストへの追加などが一切できなくなります。
ツイッター上で相手からの接触の断つことができる、ミュートよりも強力な機能といえます。
しかし、相手が別のアカウントを新規作成した場合には当然見られてしまうので、ブロックした後でアカウントに鍵をかけるとより確実です。

ツイッターへ違反報告をする

ツイッターでは、攻撃的なツイートやアカウントを見かけたら公式に違反報告できる機能があります。
報告によりツイッター公式が規約違反だと判断した場合には、そのアカウントが凍結される可能性があります。
報告するにはホーム画面で自分のアイコンを選択し、メニューの下のほうに表示される「ヘルプセンター」から操作します。
ヘルプセンター内にある「なりすまし」「攻撃的な行為および脅迫行為」「プライバシー」「スパムと偽アカウント」「セキュリティとアカウント乗っ取り」などから該当するものを選び、問題のアカウント名やツイートのURLなど、必要事項を記載して違反報告を行うことができます。
タイムラインに誹謗中傷ツイートが表示された場合は、そのツイートから直接報告することも可能です。

個人を特定して損害賠償を請求するには?

個人を特定して損害賠償を請求するには?
前項で紹介したミュートやブロックで対応しきれない場合には法的手段に訴える必要があります。
ここからは、ツイッターで誹謗中傷されたときに損害賠償を請求する手順について紹介します。
具体的な開示請求や賠償請求にはどのような手続きが必要になるのか、詳しくみていきましょう。

IPアドレスの開示請求

まず初めに行うのは、ツイッター社に対して、誹謗中傷ツイート投稿者のIPアドレスを開示請求することです。
ツイッター社側にも守秘義務があるため、交渉だけでは断られてしまうケースも多々あります。
したがって、単なる要請だけではなく基本的に裁判(仮処分)を通しての開示請求が必要です。
なお、IPアドレスの保存期間はツイッターへのログインや投稿から3ヶ月が目安です。
IPアドレスの記録が消えた後では、犯人を特定できなくなってしまいます。
攻撃的なツイートをされたら、スクリーンショットなどで日時を記録しておくとよいでしょう。
そして、3ヶ月を過ぎないうちにIPアドレスの開示請求をすることが大切です。

個人情報の開示請求

個人情報の開示請求はツイッター社ではなく、誹謗中傷の投稿者が利用しているプロバイダに対して行います。
ツイッター社からの開示で投稿者のIPアドレスが特定できれば、投稿者の利用しているプロバイダを特定することが可能です。
ただし、個人情報が開示されるのは相手が許諾した場合のみとなっています。
当然ながら、誹謗中傷を投稿した犯人が開示請求に素直に応じることは、まずありません。
したがって、プロバイダへの個人情報開示請求を行うには、裁判を起こすことががほぼ必須であると考えておきましょう。

損害賠償の請求

損害賠償(慰謝料)を請求する際は、まず初めに内容証明郵便などを使って任意の支払いを求めるところから始めます。
この段階で投稿者が慰謝料の支払いに応じたならば、裁判を起こす必要はありません。
投稿者が慰謝料の支払いに応じない場合には、裁判所に対して、投稿者への損害賠償請求訴訟を起こすことになります。
具体的には、名誉毀損・プライバシーの侵害などについて投稿者に慰謝料の請求を求めます。

ツイッターの誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼する際の相場

ツイッターの誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼する際の相場
誹謗中傷が書かれた投稿の削除依頼・投稿者の身元特定・慰謝料(損害賠償)請求などを自分一人で行うのは極めて困難で労力のかかる作業です。
費用はかかりますが、これら一連の手続きを弁護士に依頼するのもスムーズに解決するための方法のひとつです。
弁護士に手続きを依頼する場合、費用は内容によってさまざまです。
ここでは、裁判外の場合と裁判になる場合に分けて、各内容別に費用の相場を紹介します。
ここで紹介するのはあくまでも一例であり、各法律事務所によって料金体系や金額は異なるので注意してください。

裁判外の場合にかかる費用は、主に着手金と報酬金です。

・削除依頼・仮処分…着手金:5~10万円、報酬金:5~10万円
・投稿者の身元特定…着手金:5~10万円、報酬金:約15万円
・慰謝料請求…着手金:約10万円、報酬金:慰謝料の16%

裁判の場合には、着手金と報酬金のほかに裁判費用が発生します。

・削除依頼・仮処分…着手金:約20万円、報酬金:約15万円、裁判費用:3万円
・投稿者の身元特定…着手金:約20~30万円、報酬金:約15~20万円、裁判費用:6万円
・慰謝料請求…着手金:約20万円、報酬金:慰謝料の16%、裁判費用:3万円

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリット
ツイッターにおける誹謗中傷の解決を弁護士に依頼すると費用はかかりますが、迅速な問題解決・被害の拡大防止などの大きなメリットがあるのも事実です。
ここからは、どういったメリットがあるのか詳しく解説していきます。
費用とメリットを天秤にかけ、弁護士に依頼するか否かを冷静に判断しましょう。

迅速な問題解決ができる

ここまで解説したように、ツイッターで誹謗中傷された相手を特定するには、裁判を起こさざるを得ないパターンが極めて多くなります。
裁判で勝つためには、自分が権利を侵害されたことの証拠が必要です。
しかし証拠資料が不足していると、裁判を起こしても情報開示命令が出ずに棄却されてしまう可能性が高くなってしまいます。
弁護士に相談すれば、裁判に有効な証拠資料の残し方や、そのほかに何をしておけばよいのか明確なアドバイスを受けることが可能です。
それらを自分で調べる手間や時間が省けるだけでなく、わからないことをすぐに相談できるのもメリットです。

被害の拡大を防げる

ツイッターで誹謗中傷されたときに自己判断で対応すると、自分の対応が原因で被害が大きくなってしまう恐れがあります。
たとえば、つい感情的になって相手と言い合いになってしまい俗に言う「炎上」状態になると、面白がってコメントしたりリツイートしたりするアカウントも出てきます。
すると、相手から受けた誹謗中傷の内容が指数関数的に拡散されてしまうのです。
また、炎上状態になると、訴えられる危険性を感じて相手がツイートを削除する可能性もあります。
こちら側が証拠を残す前に相手がツイートを消してしまうと、慰謝料請求に必要な証拠が揃わないという事態にもなりかねません。
弁護士に相談することで、初期対応の誤りを防ぐことができ、結果的に自分への誹謗中傷がむやみに拡散されにくいというメリットへつながるのです。

このような場合は警察に相談しよう

このような場合は警察に相談しよう
ツイッターでの誹謗中傷トラブルのうち、内容によっては警察への相談が必要なパターンもあります。
代表的なものでは、脅迫・ストーカー・リベンジポルノなどが警察へ相談すべき事案です。
ここからは、警察へ相談すべきトラブルの対処法について詳しく解説します。

脅迫

ツイッター脅迫を受けている場合は、すみやかに警察へ相談してください。
特に殺害予告や放火・爆破予告などの悪質な脅迫は迷わず通報するべきです。
また、指定された日時・場所へ一人で来るように言われ暴力を振るわれそうな状況の場合にも警察へ相談することをおすすめします。
脅迫行為を軽視して放置したままにしておくと、暴行や傷害、最悪の場合殺人事件につながる可能性もあるので充分注意してください。

ストーカー

誹謗中傷とは少し違った角度からの被害ですが、ツイッター上でストーカー行為が行われることもあります。
たとえば、元交際相手から「監視している」ということを匂わせるようなツイートが繰り返し行われる場合などです。
このような場合にも、警察に相談することをおすすめします。
インターネット上の行為であったとしても、ストーカーとして取り締まってもらえるケースがあります。

リベンジポルノ

リベンジポルノとは、主に元交際相手や元配偶者が、交際中・婚姻中に撮影した性的な画像や動画をネット上に公開する行為のことです。
ツイッター上でリベンジポルノの被害に遭った場合にも、警察への相談をおすすめします。
リベンジポルノは、れっきとした犯罪行為です。
過去には、ツイッターでのリベンジポルノを行った男が脅迫罪や私事性的画像記録の提供被害防止法違反などの罪に問われ、有罪判決となった事例もあります。
被害届を提出して、警察へ捜査を依頼しましょう。

ツイッターでのトラブルは拡散する前に早めに対処しよう

ツイッターでのトラブルは拡散する前に早めに対処しよう
ツイッターで誹謗中傷された場合、正しい手順を踏めば相手の特定や慰謝料請求をすることも可能です。
ただし、初期対応を誤ると被害が拡大してしまうい慰謝料請求まで手間と時間がかかるなど、一人ではトラブル解決が難しいのも事実です。
ツイッターでの誹謗中傷トラブル解決は、弁護士に依頼すると適切な手順で迅速に対応できます。
解決が難しい場合には、弁護士への依頼も手段の一つとして考えておくとよいでしょう。

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