今や一般人も巻き込まれることが多くなったインターネットの誹謗中傷。
2018年3月法務省の発表によると、インターネット上の人権侵害に関する事件数は2,217件 (対前年比16.1%増加)と5年連続して伸びているそうです。
2019年3月法務省発表によると1,910件(対前年比13.8%減少)で減少はしたものの過去2番目に多い件数を記録したそうです。
事件として立件されていないケースも多々あると考えられますので、この件数業者に削除依頼をするメリットとデメリットは氷山の一角に過ぎないでしょう。
参照:平成30年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)~法務省の人権擁護機関の取組~
ネットの誹謗中傷を受けると、どの程度から訴えられるレベルに達しているか、なかなか判断がしづらいものです。
一人悶々と悩んで、どこにも相談できない、とお悩みではないでしょうか。
素人での判断は難しく、また放置をしておくと自身の社会的信用や経済的なダメージにもつながりかねません。
本記事では、ネットの誹謗中傷を受けたときに弁護士・警察・業者・法務局のどこに依頼すれば良いのか、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
より安心して任せられる相談先を選んで、誹謗中傷に対して毅然とした態度で対応しましょう。
どこに相談して良いのか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
誹謗中傷を警察へ相談する方法とは
インターネットでの誹謗中傷に関して相談する窓口として、一番に多い浮かべる相談先は、警察ではないでしょうか。
警察に相談するメリットとデメリットについて説明します。
ネットの誹謗中傷を警察に相談するメリット
警察は、基本的に民事不介入の姿勢を取っていますので、警察が対応するべき犯罪性・事件性のある案件ならば、きちんと対応してもらえ、スムーズに解決できます。
この点が、警察に相談する大きなメリットでしょう。
また、警察への相談は無料で、費用はかからない点もポイントです。
ネットの誹謗中傷を警察に相談するデメリット
警察に相談するデメリットは、きちんとした証拠がないと捜査してもらえない、という点です。
「名誉毀損になっているかも」ぐらいの状態では動いてもらえない可能性が大きいでしょう。
また、記事やネットの有害な書き込みに関しては、削除の手続きはしてもらえません。
放置して風評被害に遭うようになってしまうと手遅れです。
記事の削除依頼は、その他の方法でやるしかありません。
この点も注意したいポイントです。
警察に相談するときのポイント
警察に相談するときのポイントをまとめると2点あります。
1つめは犯罪性が薄いと捜査してもらえない可能性もあることです。
2つめは、犯人は特定できても誹謗中傷の書き込みに対する削除はしてもらえない、という点を理解して相談することです。
下記のリンクから各都道府県の相談窓口一覧を確認できます。
関連リンク:都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧
誹謗中傷の書き込みを削除することをメインに考えている場合、残念ながら警察はその要望に応えてくれません。
書き込みを削除したい場合は、警察ではなく別の相談先を検討するようにしてください。
インターネット上の誹謗中傷の相談は弁護士に
爆サイなどの日本最大級のコミュニティサイトで問題になっているのが誹謗中傷です。知らぬ間に自分が被害を受けているケースが多発しています。放っておくと二次被害のリスクもあるので気づいたら弁護士に相談してみましょう。
ネットの誹謗中傷を法務局に相談するには?
誹謗中傷に対処する、ということを調べていくと、法務局でも対処するということが書かれているページを目にしたこともあるのではないでしょうか。
法務局は日本中に支局があり、自宅から近い法務局で相談できる国の機関です。
この点は、地方に住んでいる人にとってはとても助かるポイントでしょう。
法務局に相談にいくと、法務局で実際に人権侵害やプライバシーの侵害に当たらないかどうかを調査してもらえます。
法務局で調査した結果、間違いなく人権侵害に当たる書き込みがあったと認められれば、法務局側からプロバイダーに対し、書き込みの削除申請が出されます。
この点が、警察とは大きく違う点で、誹謗中傷の書き込みを削除したいという希望を叶えられる可能性がある点です。
無料で削除依頼を出してもらえるという点だけでも、法務局に相談しにいく価値はあると言えるでしょう。
法務局に相談するメリット
ここまで説明してきたように、法務局に相談するメリットは、無料で相談できること、家に近い場所にある法務局で相談できることです。
そして、法務局が認めれれば、削除申請も出してもらえるかもしれません。
無料で削除申請に対応してもらえる可能性がある相談窓口は法務局だけのメリットです。
法務局に相談するデメリット
法務局に相談するデメリットとしては、国の機関ということもあって忙しく、行動してもらうとしても限界がある、ということが挙げられます。
そのため、削除してほしい文章がそのまま残されていたとしても、必ず対応してもらえるとは限りません。
法務局に相談にいくメリットは削除申請をしてもらえる点にありますが、その対応が「必ず」してもらえるわけではない点は大きなデメリットと言えるでしょう。
法務局に相談するポイント
法務局に相談するときのポイントは、あまり期待せずにダメもとで相談するということです。
削除してもらえたらラッキーぐらいに思っておけば良いでしょう。
実際、処理には時間がかかりますので、あまりあてにし過ぎないでください。
時間はかかる、あてにしないという姿勢で取りあえず相談してみるというスタンスでいれば、必要以上に期待することはないでしょう。
下記リンクから法務省の人権相談のページにリンクできます。LINEで相談できるので、うまく電話で話せない人でも相談可能です。
関連リンク:SNS(LINE)による人権相談 法務省公式ページ
確実に誹謗中傷の削除申請をしてほしい、と考える場合は、警察や法務局といった公的機関ではなく、別の相談先を探す必要があります。
インターネット上での誹謗中傷は弁護士に依頼すべき?費用相場はいくらくらい?
インターネットで誹謗中傷を受けた際、法的に対処するのは手順も多く一般の人には難しいものですが、そんなとき頼りになるのが弁護士です。この記事ではインターネットの誹謗中傷にはどんなものがあるのか、弁護士に依頼した際のメリットや費用について説明しています。弁護士に頼むのは敷居が高い、と感じている人はぜひご覧ください。
業者に削除依頼をするメリットとデメリット
ネットの誹謗中傷への対応について調べていると、誹謗中傷対策専門業者の広告を見かけることがあるのではないでしょうか。
このような専門業者に問題の書き込みを削除依頼するメリットとデメリットについて説明します。
業者に依頼をするメリット
業者に依頼をするメリットは、ネットの専門家なのでどのように対処すればいいのか熟知している点にあります。
また、削除はしなくても検索結果に表示されにくくする対策も可能です。
インターネットのGoogleやYahooの検索結果の仕組みに詳しいからこそ打てる対策と言えるでしょう。
業者に依頼をするデメリット
業者に誹謗中傷に関する対策を依頼すると、高額な費用を請求される場合があります。
その費用について妥当性が分からないので、言い値のまま払ってしまう人が多い点は問題であり、大きなデメリットです。
また、業者自身が誹謗中傷にかかわっている悪質なケースもあります。
さらに、根本的なことを言うと、業者が行う誹謗中傷対応の方法によっては非弁行為に該当する点です。
非弁行為とは、報酬を得る目的で、仕事として法律関連の事務を行うことを指します。
法律関連の事務を取り扱える人は、法律について勉強を重ねて司法試験に合格した弁護士しかいませんので注意が必要です。
ネットの削除業者が誹謗中傷を削除するのは非弁行為
非弁行為ってなに? 非弁行為とは、弁護士ではない第三者が営利目的で弁護士業務を代わることを指します。 非弁行為は特別に許可される場合を除き、一律に禁止されています。 弁護士法第72条に基づき、非弁行為を行った者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。
業者に相談するときのポイント
業者に相談するときのポイントは、非弁行為に当たるかどうかを見極めることです。
そこをはっきり確認しないと、依頼した人自身も非弁行為に加担したと見なされることもあるので気をつけましょう。
ただ、非弁行為について見極めると言ってもそう簡単に見極められるのか、という問題もあります。
非弁行為の見極めに難しさを感じるなら、業者ではなく法律の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
インターネットの誹謗中傷を弁護士に相談するメリット
インターネット上で誹謗中傷の被害を受けた場合、弁護士に相談することが一般的とされているのは何故でしょうか?弁護士に相談することのメリット、他の相談窓口との比較、更には弁護士に相談した際の費用についてもご紹介します。
インターネットの誹謗中傷は弁護士に相談するのが一番安心できる!?
ネットでの誹謗中傷に関しては、警察・法務局・業者それぞれにメリットとデメリットがあることを紹介しました。
では、弁護士への相談はどうでしょうか。
弁護士は、さまざまなサイトや掲示板に対して交渉を行う「権利」があります。
そのため、もっとも安心して誹謗中傷問題を相談し、任せられる相談窓口が弁護士なのです。
弁護士が持つ権利と、ネットの誹謗中傷に関する削除請求などを弁護士に依頼をするメリットとデメリットについて解説します。
弁護士がもつさまざまな権利とは?
弁護士は、ネットでの誹謗中傷に関して、
「プロバイダーへの発信者情報開示請求」と、
「サイト、掲示板運営者への書き込み削除要請」
が可能です。
法律のプロであるため、どの程度で名誉毀損として訴えられるかと、ということまで相談に乗ってもらえ、実際に裁判を起こすときも頼りになります。
警察のように「犯罪性があれば」という条件もつかず、法務局のように対応してもらえるかどうか分からない、ということもありません。
誹謗中傷対策として効果的な発信者情報の開示請求書
インターネットなどで誹謗中傷を受けた際などの対策として発信者情報開示の手続きがあります。 これは「発信者情報開示請求書」をサイト運営会社やプロバイダに送り、発信者情報を開示してもらうというものです。 サイト運営会社やプロバイダが開示請求を認めれば主にIPアドレスなどの発信者情報が開示されることがあります。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットとしては、主に以下の3点です。
・法的手続きを一括してできる
・削除後の損害賠償請求対応も依頼可能
弁護士は誹謗中傷されている依頼人の代理人として表に立って行動します。
本人は表に出なくて良いので、精神的にかなり楽です。
問題の書き込みが実際に削除された後、必要に応じて損害賠償請求の対応にも回ってもらえます。
ネットの誹謗中傷に対して、法律に則って対処するべきことは沢山あります。
削除請求や発信者情報開示の仮処分命令申立手続き、損害賠償請求、刑事告訴手続きなどです。
これら多くの法的手続きを一括でできるのは弁護士だけ。
さらに風評被害に対しての損害賠償請求など、書き込みを削除した後の対応もお願いできます。
つまり、ネットの誹謗中傷問題に対して、最初から最後までワンストップでお願いできるのは、弁護士だけです。
このように、弁護士に依頼するメリットは非常に大きいのですが、実はデメリットもゼロではありません。
知っておいて得する!誹謗中傷・風評被害対策5ヶ条
インターネット上の誹謗中傷や風評は、なぜ対策する必要があるのでしょうか?企業にとって誹謗中傷や風評がどのような影響を与えるものなのか、それぞれどのような対処方法があるのかをご紹介します。
弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼する際のデメリットはほぼないのですが、注意したい点はすべての弁護士がネット誹謗中傷に精通しているわけではないということです。
依頼する弁護士を探す際は、インターネットで起こるさまざまな問題に詳しい弁護士を選ぶように注意しましょう。
ネット誹謗中傷に強いIT弁護士の相談費用の相場はどれくらい?
ネットで誹謗中傷を受けたときに真っ先に相談するのが弁護士。では【ネット誹謗中傷に強いIT弁護士の相談費用の相場はどれくらい】かご存知でしょうか? こちらでは、誹謗中傷案件にかかわる弁護士費用の一覧や、一般的な相談内容、Webサイトでの誹謗中傷のような問題を弁護士に相談するメリットについてお話します。
相談が多い掲示板・Twitter・LINEの誹謗中傷はどこに依頼する?
ネットの風評被害で相談が多い発信元は、ネット掲示板とSNS(ソーシャルネットワークサービス)の中でもTwitterとLINEだと言われています。
これらから誹謗中傷を受けて風評被害に遭った場合は、やはり迷わず弁護士に相談するべきです。
掲示板で誹謗中傷にあったときは迷わず弁護士へ!
掲示板のスレッド削除を行うには、被害者の代理人となってサイト管理者に削除申請をしなくてはいけません。
ネット業者にこれを依頼すると、非弁行為に当たります。
殺害予告や脅迫など、犯罪が立件できそうなケースなら警察も対処してくれるかもしれません。
しかし、犯罪性があるとまで言い切れない場合は動いてもらえない可能性が高いでしょう。
その点、弁護士ならきちんと最後まで対応してもらえます。
Twitterのツイートが原因で誹謗中傷にあったら
Twitterのツイートが原因で誹謗中傷や風評被害に遭ったら、まずは弁護士に相談・依頼してツイートの削除を優先して動いてもらうようにしましょう。
これ以上被害を拡大させないためには、削除するしかありません。
名誉毀損や風評被害の拡大につながるツイートにはなるべく速やかに削除依頼をしてもらうのが一番です。
ただし、その際悪質なツイートがあったという証拠は残しておくようにしましょう。
どのように残しておくかについても弁護士と相談しておけば安心です。
問題ツイートの削除依頼とともに、以下当てはまるものがあれば、それぞれ弁護士と相談しながら対応していきます。
【業務妨害罪】自分が経営するお店・営業上の不利益が出た
【信用毀損罪】なりすましアカウントを使った迷惑なツイートにより本人の信用が落ちた
ここに挙げた例はすべて刑事事件として立件できる犯罪で、警察に相談しても良い案件です。
しかし、ツイートの削除依頼は弁護士の方が速く動いてもらえますので、一括してすべて弁護士にお任せしておくと良いでしょう。
名誉毀損罪と信用毀損罪は似ていますが、信用毀損罪は、非親告罪で社会的な信用が落とされて経済的なダメージを与えるという点が名誉毀損罪と違う点です。
両者の違いについて分かりにくければ、弁護士に聞いて、どちらに当てはまるのかを確認しつつ訴状を作成しましょう。
twitterで誹謗中傷されたときはすぐに相談を
年齢を問わず、世界中の人たちがコミュニケーションツールとして使っているSNSの代表とも言えるものがTwitterです。 ブログのように長い文章を書かずに済み、短い文に画像を添えることも可能です。 不特定多数の人が目にすることから、情報を拡散するにはもってこいのツールでしょう
LINEの削除は自分でも申請できる?
ここまで取り上げてきた掲示板やTwitterは、インターネット上で不特定多数の人に見られるという特徴があります。
しかし、LINEは不特定多数の人たちに情報を公開しているわけではありません。
LINEのような状態を「公然性がない」と表現します。
それでも、自分と親しい友だちに見られるため、誹謗中傷が名誉毀損にまで発展した場合は、やはり弁護士に相談しましょう。
また、LINEは、問題報告フォームを用意しており、本人からの削除依頼がある場合は、その問題報告フォームで削除依頼を出せば対応してもらえます。
誹謗中傷の相談は慰謝料も請求できる弁護士へ
ネットでの誹謗中傷はどこに相談すればと良いかについて解説しました。
ここまでの内容を簡単に整理しましょう。
・法務局:無料だがなかなか動いてもらえないので、あまり期待せずに相談してみるのはあり
・ネット業者:非弁行為におよぶ可能性あり、料金も高い場合がありおすすめできない
・弁護士:誹謗中傷書き込みの削除依頼から名誉毀損や風評被害の損害賠償請求まで依頼可能なので一番おすすめ
誹謗中傷されたときにすぐ思い浮かぶ相談窓口は警察ですが、刑事事件として立件できなければ、相談してもなかなか動いてもらえないのが現状です。
しかも、動いてもらえたとしても、誹謗中傷の書き込みを削除してもらうことはできません。
誹謗中傷の書き込みを削除するのにネット業者を使うと、場合によっては非弁行為に当たり、自分自身も法律違反を犯してしまうという危険性が出てきてしまいます。
弁護士は削除や犯人特定だけでなく、誹謗中傷によって発生した風評被害に対しても慰謝料請求ができますのでおすすめします。
ネットの誹謗中傷にお悩みなら、ぜひ一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
誹謗中傷の相談はどこにしたらいいの?相談する際のポイントも合わせて解説
SNSの普及により、誰もが簡単に自分の意見をインターネット上で発信することができるようになりました。 もし自分が誹謗中傷の被害にあったときのために、どこに相談すれば良いか知っておくことが大切です。 誹謗中傷の相談先について、それぞれの特徴や相談時のポイントをご紹介します。