なりすまし被害を受けるのは有名人だけではない
年齢を問わず、世界中の人たちがコミュニケーションツールとして使っているSNSの代表とも言えるものがTwitterです。
ブログのように長い文章を書かずに済み、短い文に画像を添えることも可能です。
不特定多数の人が目にすることから、情報を拡散するにはもってこいのツールでしょう。
そのため企業が新商品のPRのために活用したり、有名人が出演情報を告知するだけでなくオフショットを投稿することもあります。
Twitterで好きな有名人をフォローしている人は多いはずですが、名前を入れて検索したとき、同姓同名が出てきたことはありませんか。
偶然名前が同じという場合を除き、まるで本人のように振る舞っていることがあり、ファンの間で問題視されることもあります。
これが有名人になりすましているアカウントで、本人として認証されていなかったり、本人の写真をコピーして投稿していることから発覚することがあるようです。
実際にあった例として挙げられるのは、Twitterを利用していない有名棋士のふりをしたアカウントがあります。
弁護士になりすまして訃報をツイートする不謹慎なアカウントなどは、注目されたい・アクセス数を稼ぎたいという目的だと予想することができます。
目立ちたいだけのアカウントが全てではなく、高級ブランド商品を安売りすると言って詐欺行為をしたり、個人情報を抜き取る悪質な手口があるのも現状です。
なぜ企業や一般人がターゲットにされる?
Twitterでなりすましの被害に遭うのは、有名人に限ったことではありません。
企業や一般人がターゲットにされることもあるので、ある日突然「にせもの」が現れる危険性も考えられます。
なりすましの手口は巧妙かつ悪質で、ターゲットのアカウントに酷似したものを作成し、Facebookなど他のSNSなどから公開されている写真を持ってきてツイートを始めます。
長い文章であれば見破られる確率が高くなりますが、短文が特徴のTwitterではバレないことも。
有名人でもないのにターゲットにされるのは、個人的に恨みを持っていたり面白半分に行っているという理由が挙げられます。
企業に対しては過去に社員だったり商品への不満があったり、クレームをつけたら対応が悪かった等、予想できる理由は多数あります。
人気のある個人経営の店舗が、ライバル店から妬まれて誹謗中傷をされることもあるでしょう。
個人に対しては過去の出来事を根に持って誹謗中傷したり、成功を妬んで相手の名誉毀損を目的になりすましている可能性があります。
企業が被害に遭うと商品の評判が落ちて売り上げに影響したり、内容次第では多くの社員や関係者に影響が出たりするでしょう。
個人をターゲットにしている場合は、それなりに本人の個人情報を把握していることが多いです。
Facebookなどに写真を公開していなくても、面識があれば相手の手元になりすましのターゲットの写真があるはずです。
口癖や書き方の特徴、行動パターンや個人情報を知っているだけに、放置しておくとエスカレートします。
短文で投稿できることを悪用し、住所や電話番号を公表したり、嘘の交友関係を広められることがあります。
元風俗嬢や元AV女優だと虚偽の経歴を流し、著しく名誉を毀損する悪質極まりないところが特徴です。
フォロワーが大勢いる人や社会的地位のある人、これから就職や結婚など人生の大きなイベントを控えている人は、早急に対策をとるべきです。
特に仕事で知り合った人がフォロワーにいるときは、周囲の人たちにも迷惑がかかってしまうことがあります。
社会的信用を失うことがないように、なりすましがいないか定期的にチェックすることも忘れないようにして下さい。
最近は世の中への不満を理由に、何も関係のない人をターゲットにする恐ろしい事件も起きています。
SNSが普及して楽しむのは良いことですが、誰が見ているのか分かりません。
顔がはっきりと分かる写真を投稿するときは、不特定多数が見られないように公開範囲を制限するなど、事前に対策をしておくことも必要です。
スクリーンショットで簡単に写真を保存できるのは便利ですが、画像加工ソフトも種類が豊富で、悪用される可能性は十分にあります。
スクリーンショットされたことは必ず通知されるわけではないので、写真の公開には慎重になるべきです。
友達の顔がはっきり分かる写真や、大勢が写っている場合は、他の誰かの写真がなりすましアカウントの作成に使用される危険性があることを考慮して関係者以外は見られないようにしましょう。
なりすましの見破り方とは?
冷静に見れば分かる、なりすましアカウント
なりすまし対策を普段から行うと言っても、Twitterには膨大な数のアカウントがあるため、探し出すことは容易ではないイメージがあります。
見分け方は実は簡単で、名前やアカウントで検索をかければ良いだけです。
自分の名前で検索をかける「エゴサーチ」をすれば、なりすましがいる場合は出てくるでしょう。
なりすましをする人は不評を広めようと、できるだけ似ている名前や検索に出てきやすいようにしています。
Twitter内でユーザー検索をかけるのではなく、大手サーチエンジンを使って「エゴサーチ」をします。
同じ名前や似たようなアカウントが出てきたら、なりすましアカウントかどうかを見極める必要があります。
なりすましの場合、たとえ写真がアイコンに使われていてもフォロワーは少ないはずです。
その反面で多くの人に悪評を広めようとしているので、フォロー数が異常に多いことに気付くでしょう。
フォロワーに知っている友達がいたら、すでに実害が出ていることを疑ったほうが良いです。
プロフィールがはっきりと書かれていても情報が古かったり曖昧な内容が入っているはずなので、冷静に読んでみて下さい。
たくさん虚偽のツイートをしてプロフィールが不完全なパターンと、ツイートが著しく少ないのにプロフィールだけは充実して名誉を毀損する自己紹介が出ているパターンがあります。
有名人のなりすましはファンが見破ることが多いですが、個人をターゲットにしているときは友人や知人から指摘されて気付いたり、自分自身で探し出して発覚します。
なりすましのアカウントを作られたと気付いたら、ツイートの内容にも注目してみましょう。
面識のある人が呟いているので、ツイートの文面からなりすましの正体が見えてくることもあります。
昔の友人や知人、過去の恋人の文面に似ている呟きがないか、探してみることをおすすめします。
画面をスクリーンショットで保存しておけば、相手が白を切っても証拠として提示することが可能です。
なりすましを見つけたら、迅速な対応を
すぐに運営元とフォロワーに連絡
なりすましのアカウントを発見してしまったら、最初にするべきことはTwitter運営元への通報です。
被害の拡大を防ぐためにも、アカウントを削除してもらう必要があります。
運営への通報が終わったら、フォロワーに報告することも忘れないようにして下さい。
面識のある友人や知人、Twitterで知り合った人たちに、被害に遭ったことを知られる必要があります。
なりすましアカウントをフォローしている友達がいても、ダイレクトメッセージではなく個人的に連絡先が分かれば確実に友達本人と連絡が取れる手段を使ったほうが良いです。
運営への報告は「歯車マーク」から「報告」をタップし、「アカウントが乗っ取られているようです」を選べば通報が終了します。
乗っ取られていなくても、報告の対象の中になりすましも含まれているので安心して下さい。
https://support.Twitter.com/forms/impersonation
上記のURLからメールフォームにアクセスすることができ、通報が受理された場合は「にせもの」として使用されていたアカウントは凍結されます。
Twitterの運営側がきちんと対策しているところからも、なりすまし被害が多発していることが窺えます。
フォロワーや友達に報告するのは、なりすましをしている人が虚偽のメッセージを送っている可能性があるからです。
人間関係を壊そうとして、なりすましてフォロワーに誹謗中傷のメッセージを送ったり、詐欺行為をしている危険性が考えられます。
被害の拡大を防ぐこと、そして何よりも人間関係を大切にするために重要な対策です。
ツイートで伝えると、なりすましに見られる危険性があります。
Facebookなど他のSNSでもつながりを持っている人には、別の場所で知らせて下さい。
そのうえでTwitterでも告知すれば、本当になりすましの被害に遭ったことが伝わります。
知らせるときは証拠として保存しておいたスクリーンショット、なりすましのアカウント名も提示して下さい。
なりすましが「本物です」と混乱させることも想定し、きちんと証拠を示して報告するべきです。
運営元に通報しても、なりすましアカウント削除に時間がかかってしまうこともあります。
通報が済んだら時間を置かずに友達やフォロワーにも伝えることが、信頼を失墜させないためにも大切です。
たとえアカウント削除が迅速に行われても、執拗になりすましアカウントを作成してくる危険性があります。
油断せず定期的に「エゴサーチ」をするように心がけて下さい。
なりすましの犯人特定、犯罪として成立するケースも
なりすましアカウントのせいで、個人の評判が落ちてしまったり、繰り返しなりすましアカウントを作られて苦痛を受けたりすることがあります。
執拗に攻撃されているのに泣き寝入りしていたら、思うつぼです。
なりすまし犯は面白がって、他のSNSになりすましアカウントを作成してエスカレートする危険性もあります。
名誉を毀損されるだけでも問題ですが、フォロワーたちも混乱させているのですから、非常識極まりない人間です。
なりすまし犯が誰なのか、特定する方法があることを覚えておきましょう。
そう簡単ではないうえに必ず特定できるという確約は難しいですが、知っておくに越したことはありません。
犯人特定のため、最初にすることはTwitterの運営元になりすましをした人間のIPアドレス開示要求をすることです。
応じる義務がないことから拒否されることもありますが、そのときは民事保全法23条2項「IPアドレス開示の仮処分」の訴訟を起こします。
それだけで犯人が誰なのかは分からないため、同時にプロバイダへ「発信者情報の開示請求」も行います。
プロバイダが開示したときは損害賠償請求などを行いますが、全て1人でやり遂げることは難しいため、弁護士に頼むことが一般的です。
文字では簡単に見えても、実行すると犯人特定に約半年かかるので、特定したい場合は早めに弁護士に相談すると良いでしょう。
Twitterのなりすましは企業が相手の場合は刑法233条の「業務妨害罪」に、個人情報を勝手に広めると刑法230条「名誉毀損罪」、なりすまして誹謗中傷したときは刑法231条「侮辱罪」が成立する可能性があります。
なりすまし犯が面白半分であっても、内容次第では刑法上の犯罪として刑罰が科せられることもあるでしょう。
知らない間に酷似したアカウントを作成されてTwitterを通して世界中に拡散され、精神的苦痛を与えられたら民事上の慰謝料損害賠償請求を行うことができます。
なりすまし犯が何を目的としているのかは本人に聞かないと分かりませんが、誰かのふりをしてプライベートを広めることは遊び感覚でするようなことではありません。
被害を拡大させた犯人が笑って、被害を受けた側が泣き寝入りする結果にならないためにも、なりすましがあったときはすぐに対策をとることが重要です。
普段からなりすましがいないかどうかをチェックして、見つけたら運営への通報を、場合によっては専門知識のある弁護士に相談して下さい。
有名人や企業に限らず、個人であっても被害の内容次第では警察への通報が必要と判断される場合も考えられます。
実害が出てしまったときは、具体的に何があったのか分かるようにして、早めに相談するようにしましょう。